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なぜメトロノームを2拍目と4拍目に鳴らすのか?

前回の記事を見て分からないことがありました。
『メトロノームの使い方』の7〜8番目は、なぜメトロノームを2拍目や4拍目のみ鳴らして練習するのでしょうか?

前回の記事を見た生徒さんからの質問です。

この練習法は、バークリー音楽大学時代の僕の先生、ミック・グッドリックから学んだものです。
彼のレッスンでは演奏するときにメトロノームを鳴らすことが多かったです。
しかもクリック音を最小にしていたのも印象的でした。

クリック音が小さい場合、演奏中にしっかりクリックを聴こうとする意識が働くため
練習の効果は高いです。

ではなぜ1拍に1クリックではなく、2拍目と4拍目なのでしょうか?

それには2つの理由があると僕は考えています。


クリックを裏拍に鳴らす2つの理由

・「ノリ」を身につけるため

・リズムにもたれるのではなく、自らリズムを作り出すため

ノリとは?

日本とアメリカそれぞれのコンサートで演奏していてあることに気が付きました。
日本ではお客様がオンビート(1拍目・3拍目)に拍手するのに対して
アメリカではオフビート(2拍目・4拍目)に拍手をすることが多かったのです。
特にお客様にご年配の方が多いとこの傾向は顕著です。

またプリスクールの子どもたちがダンスを踊る様子を見ている時に
彼らがオフビートを感じながら踊っていることにも気づきました。

文化背景、歴史、DNAの引き継ぎなど様々な要因が考えられますが
僕が見たアメリカの方々は自然にオフビートで音楽を感じていました。

現代のロックやジャズ等はオフビートで音楽を感じる人々が生み出した音楽です。
オフビートで音楽を感じるとき、僕たちはまるで
馬に乗っている時のような躍動感やうねりに気づくはずです。

これが僕の考える「ノリ」です。

あなたがポピュラーミュージックを演奏するなら
必ず身につける必要があるものが「ノリ」です。

ノリやフィーリング持たないポピュラーミュージックは平面的です。
(DAWで作成した作品に躍動感が感じられない方は、このノリを意識すると劇的に変化します)

立体的であることは美しいのです。 

リズムにもたれかからない

独学でギターを練習している方に多いのは
「メトロノームとずれないように演奏する」ことがゴールになってしまっていること。

しかしメトロノームに合わせることができないのは
『演奏技術が十分でない』場合がほとんどです。

リズム感がないからではありません。

腕や手、指を思った通りに確実に動かすことができないのが問題です。

またプロのレコーディング経験の少ない人は
本人がクリックに合っていると思っていても、実は合っていない場合が多いです。

これは音を出すタイミング、切るタイミングに対する意識の深さや気付きの問題なので
良いディレクターやエンジニアと共に経験を積むことで克服できる場合がほとんどです。

『メトロノームとずれないように演奏する』ことは練習次第で解決します。

でも本当にゴールに設定するべきは
『メトロノームに合わせて演奏する』という意識ではなく
『メトロノームと一緒に演奏する』ということ。
これを本当の意味で理解するには、独学だと難しいかもしれません。

パルスを作り出す

パルスとは周期的な波動や振動のこと。脈拍もパルスですね。
タイム感と言い換えることもできます。

『メトロノームと一緒に演奏する』というのはメトロノームと対等に演奏するということ。
体内で感じるパルスとメトロノームの持つパルスを一致させる必要があるわけです。

メトロノームのクリック音にギターの音を置きにいくのではなく
自分のタイム感とメトロノームのクリックが自然に等しくなることを目指します。

この感覚を養うために、まずクリックの数を減らしましょう。
前回の投稿、『メトロノームの使い方』の8番目に、クリックを4拍目だけに鳴らすと書いてあります。
これはメトロノームの鳴っていない間はパルスを自分の中に作り出す必要があるということ。

そこからさらに進んで、3拍目裏や4拍目裏のみクリックを鳴らしてみるのも効果的です。
(慣れてきたら三連裏や2拍3連でクリックを鳴らすのもおすすめです)

このような練習を繰り返すことでメトロノームと対等の関係を作り出し、
結果としてバンドアンサンブルでドラムやベースとタイム感を共有することができるようになります。
これは単純に「ドラムに合わせる」というレベルではありません。

このレベルに達すると、別々の楽器の音があたかも一つの音の塊となり
本当の意味でバンド・サウンドと呼べるようになりますよ。


ノリやフィーリングを言葉だけで理解することは難しいことです。
教則本を何時間も読むより1回の体験レッスンの効果は絶大です。
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